ドリルは漢のロマンだ




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シェニス編


オリジナルシナリオ、FTEにおけるオリジナルマスター、シェニスを主役として書かれた。トサカヘッドの青の義将。彼の壮烈なる生き様と死に様を描く超大作。


(この画像はきもちも(略)のmirror氏からの頂き物です)

いや、ほんと自分で書いてて笑ってるんだから、面白いのは間違いないはず。



その1 シェニス出陣


「おい、キスク。見てくれ今日のトサカを!」
「・・で?」
「冷てーよ、お前。いつにも増して凛とそそり立つこのトサカ! あぁ、決まりすぎだぜ」
「お前の髪型なんて、どうでもいい。
 そんなことより、お前、昨日来たムクガイヤからの使者を勝手に追い返したそうだな?」
「おお、当然だろ。王位簒奪者なんかとよしみを通じるわけには行かねぇ」
「なんだって、そんな勝手なことをするんだ! しかも副領主であるこの俺を無視して! いいか、俺たち『青の兵団』はな・」
「神速と義を旨とする中立なる兵団だって、言いてーんだろ。わかってんよ」
「判っているなら!」
「だからよ、義を重んじるならムクガイヤと手を繋ぐわけにはいかんだろ」
「感情でものを決めるな。王都を制圧して圧倒的な戦力を誇るムクガイヤと、
 そのムクガイヤに反旗を翻したファルシスタ騎士団と、
 俺たちはその狭間に立って、このルインヘイム、そして大陸全体の行く末に対する責任をだな、
 ・・おい、聞いてるのか?」
「面倒くせーよ。とにかくムクガイヤは悪者なんだろ。ルーニック島に逃げ込んだゴート8世を助けてさ
 ラムソン殿と協力してムクガイヤを倒せばいいわけよ」
「なんでお前はそんなに単純なんだ・・。くぅ、やっぱりお前を領主にしたのは失敗だ」
「へへへ。青の剣倒しで優勝したんだから、文句は言わせないぜ」

注:青の剣倒し
 砂山に青の剣を突き立て、交互に砂を掻き取っていき、剣を倒してしまった方の負け。
 4年に一度、ルインヘイムの領主を選出するための神聖な儀式。飛び入り可。

「お前のせいで、ルインヘイムも青の兵団もこの時代で終わりだ・・」
「でよ、ムクガイヤと手を切った以上、この前のラムソン殿の策に協力するんだろ」
「ラムソン殿がプレアに兵を向けて、その救援に来たムクガイヤ軍を、
 とって返したラムソン軍と俺たちで挟撃するという奴だな。
 策としては悪くはない。が、ラムソン殿はその結果大都市プレアを手中に収めるが、
 俺たちはムクガイヤの怒りを買うだけで、得るものがないな」
「いいんだよ、この青の義将、シェニス。権力や領土にために動く男でない!」
「なにが青の義将だよ、南海の黒豹の方がお似合いだぞ」
「ああ、お前、ボルマウカ人を差別すんのかよ! 人種差別反対!」
「差別じゃなくて、似合わないっての。お前の浅黒い肌に『青の』なんて冠詞が似合うわけないだろ」
「いいんだよ、マントと鎧は青でそろえたし。トサカも決まってるしな!」
「・・トサカは関係ないだろ」

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その2 トサカ斬撃編


ついにラムソンがプレアに向けて動く。ムクガイヤは配下の最強、最精鋭の黒騎士団と
もっとも信頼するサルステーネを救援に派遣した。
そして、ルインヘイムの誇る青の兵団も、長い沈黙を破り動き出す。
騎士団領で激突する両軍の背後から、ムクガイヤ軍に対し奇襲をかけたのだ。

「おらおらおらぁ!」
「シェニス! 総大将が前に出過ぎだ!」
「喰らえ、青の剣!!」
「出過ぎだっての、聞こえないのか!」
「欲望にまみれ、義を失いしムクガイヤよ、今こそこの青の義将シェニスが天誅を下さん!」
「お前、聞こえてるだろ。無視するな、シェニス!」

己に酔い、一人敵陣に切り込むシェニス。
しかし、三人の騎士が一斉に斬りかかって来た。
「ふっ! 三人なら勝てると思ってるのか!? 笑止!」
「おい、こいつシェニスだぞ! 黒い肌に妙な髪型、間違いない」
「妙なとはなんだぁ!! トサカに来たぞ、ど畜生!!」
「いいか、三方から一斉に斬りかかるぞ! 大手柄だぜ!」
「ぬ、右からの奴は青の剣で、(ガシッ!)
 左からの奴は盾で、(ガシッ!)
 そして、正面からのは・・」
「ぬはは、両手がふさがっていては受け切れまい。もらったぁ!」
「ぬぉぉ! 舐めるなぁぁ!!」
ギィィーーン!!
「なにぃ!! と、トサカで受け止めただとぉ!」
「丹田で練った氣を毛髪の先にまで込めることにより、
 俺のトサカは鋼を上回る強度と切れ味を持つ!
 これぞ名付けてトサカ・ブレード!!」
「そ、そんな馬鹿なぁ!」
「怒・髪・天! おらぁ!」
「ぐはぁ!」
「見ぃたか、正義の力ぁ!」

陣中より戦局を見渡していたサルステーネ。
「なんだあいつは・・。兜に付いた刃物で我が黒騎士団をめった切りだと!?
 い、いや、あれは兜ではない・・。
 と、トサカ。トサカなのか!」
『青の兵団』の奇襲と、見たこともない武器。ラムソン軍だけでも戦力的に互角であったのだが
思いもかけぬ伏兵の出現に、サルステーネはプレア救援を諦め、軍を引かざるを得なくなった。

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その3 キスク瀕死編


中立の旗を捨て、ラムソン軍に協力したルインヘイムの『青の兵団』
しかし、それはムクガイヤの怒りを買うこととなった。
復讐に燃えるサルステーネは大軍勢を預けられ、ルインヘイム攻略に向かう。

「おお、すげぇ大軍だぞ、キスク」
「やはりムクガイヤの怒りを買ったな。ラムソン殿の前にまずルインヘイムというわけだ。
 全く、お前のせいでルインヘイムも終わりだ」
「なに弱気になってんだよ。一人で、ええっと、5人倒せばいいだけだろ」
「5倍の敵を相手に、まともな戦いになると思ってるのか!」
「安心しろ、このトサカある限り、俺たちは負けねぇ」
「だから、トサカは関係ないっての」

鍛え上げられた『青の兵団』は、地の利も生かしムクガイヤ軍となんとか互角の戦いを繰り広げる。
「青の剣! あーんど、トサカ・ブレード!!」
「シェニス、前に出過ぎだ!」
「総大将が頑張らないと、配下が付いてこねーだろ」
「お前が死ねば、その場で負けが決まるんだよ。いいか、指揮官というのはな・」
「説教はいい。囲まれたぞ!」
「ぬぬ」
黒騎士団の精鋭が、幾重にも二人を取り囲む。
「ま、まずいぞ」
「ふ、こんな事もあろうかと、昨日寝ないで必殺技を考えておいたのよ」
「必殺技?」
「キスク、俺にジャイアントスイングをかけろ!」
「はぁ? こんな時にプロレスごっこなんかしてられるか」
「いいから、早くしろ!」
「ええぃ、回すぞ!」

ぐるん、ぐるん、ぐるぐるぐるぐる。

「そして、トサカを立てる! ほぅあ!(ぐるぐるぐる)」

ギュルギュルギュル、ギュィーン!!

「近寄れるものなら、寄ってみろぉ!(ぐるぐるぐる)
 360度、死角無しに放つこのトサカ・ブレードをくぐり抜けられるものならなぁ!
 これぞ、必殺、トサカ・スパイラルぅ!!!(ぐるぐるぐる)」
「な、なんだこいつはぁ!」「ち、近寄れねぇ!」「ぐは! やられた!」

回転ノコギリのごとく、ムクガイヤ軍を切り刻んでいくシェニス。
「よぉし、このまま突っ込むぞ、キスク!(ぐるぐるぐる)」
「ちょ、ちょっと待て。俺はもう限界・・(ぐるぐるぐる)」
「どうした!(ぐるぐるぐる)」
「う・・うげぇ!!(ぐるぐるぐる)」
「うわ! 吐くなぁ!(ぐるぐるぐる)」
「うげげぇ!(ぐるぐるぐる)」
360度、死角無しに飛び散る異臭を放つ汚物!

ムクガイヤ軍の士気は阻喪し、全軍が敗走を始める。
「サ、サルステーネ様! お逃げ下さい!」
「ぐ、このサルステーネ、二度も敗北の苦汁を舐めるとは!」

かくして、第一次ルインヘイム攻略戦はシェニス率いる青の兵団が、
戦力において遙かに上回るムクガイヤ軍を撃退し、幕を閉じるのである。

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その4 トサカ騎士団結成編


「おはようございます、キスク様」
「ああ、おはよう。・・って、なんだお前ら! その髪型は!!」
「え、これですか? いやぁ、もう先日のシェニス様の戦いぶりにほとほと感銘いたしまして。
 我ら青の兵団員、全員トサカを立てることにしたんです」
「な、なにぃ!!」

「シェニス、おい、シェニス!」
「おう、キスク。おはようさん」
「兵団員の奴らの髪型は何だ! どうせお前が指図したんだろ、ええ?」
「はは、俺は知らんよ。だがまぁ、つえー俺に憧れるのは当然だろうがな」
「青の兵団はルインヘイムのみならず、大陸全土から選出されたエリートだぞ!
 その機動力、素早い太刀筋から繰り出される真空波のみならず、
 知性、教養ともに高い水準の・って聞いてるのか!!」
「落ち付けって。それよりラムソン殿から書状が来てるぞ」
「ラムソン殿から? 内容は?」
「それがよぉ。俺関西の言葉はよく分からなくてよ」

注:関西
セイウォードと騎士団領の間にある要衝、アフ・サーカ関の西の地方を指す。
関を越えたとたんに、かなりきつい方言が混じる。

「見せてみろ。ええっと、何々・・」

『あんたはん、トサカ立ててゲロ吐きながらぐるんぐるん回ってたそうやないけ
 おいどん、変態とつき合うのはまっぴらだぜよ
 ほなさいなら』

「こ、これは絶縁状だ!」
「マジ?」
「同盟は無効になったということだ! あぁ、ラムソン殿の後ろ盾なしで
 正面からムクガイヤと戦うことになるとは!
 これもそれも、シェニス、お前のその変なトサカのせいだ!」
「おいおい、俺のせいにすんなよ。
 書状の中身からするとだな、トサカ:俺。ゲロ:お前。ぐるぐる:二人、だろ?
 ってことはだ、責任は半々だな」
「俺の責任にするなー!
 ええい、お前じゃなくてこの俺が領主になっていれば、こんな事態は避けられたはずなのに!
 俺はルインヘイムで生まれ、ルインヘイムのことだけを考えて生きてきた。
 それをルインヘイムの伝統なんて全く知らないお前が、いきなり領主になったものだから・」
「えーと、俺、朝の調練に行くわ」
「そもそもだ、領主の座を青の剣倒しで決めるなどという伝統が・」
(以下、キスクの愚痴が続きます)

勢揃いした青の兵団の前に立ち、涙を流すシェニス。
「うう、お前達! ナイスなトサカだ! ついに俺の心が分かってくれたか!」
「「「団長! 我ら死ぬまで団長に付いて行きます!」」」
「おお、俺は今猛烈に感動しているぅ! だがお前達のトサカはまだ形だけだ!
 それでは鋼の鎧を切ることは出来ん!」
「どうすればいいんですか! 我らを導いてください、団長!」
「よぉし! まず下っ腹に力を入れろ! そしてその氣が体の中を駆け上がって
 トサカの先まで到達することをイメージしろ!
 そして、叫べ、『トサカに来たぜぇ!』」
「「「トサカに来たぜぇ!!」」」
「声が小さい! イメージしながらだぞ、忘れるな!」
「「「おいっす! トサカに来たぜぇ!!」」」
「いいぞ、もう一度だ!!」

「俺は5歳の時から領主になるべく、一日3時間の『青の剣倒し』の練習を欠かしたことは無かったんだ。
 俺こそが領主になるべき、領主にふさわしい逸材なんだ。
 ボルマウカ人の基礎身体能力が高いからって、飛び入りのお前が勝っちゃいけなかったんだ」
(以下、キスクの愚痴が続きます)

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その5 オカマ襲来編


「おーほほほ! サルちゃん(サルステーネ)のお馬鹿が失敗したおかげで、私にもチャンスが
 巡ってきたわぁ! さぁ、私の可愛い魔獣ちゃん達、ルインヘイムのやつらを
 ぎたぎたに刻んで、あなた達の餌にして、あ・げ・る! おーほほほ」

「シェニス、また来たぞ!」
「ムクガイヤかよ、懲りない奴だな。ま、ちょうどいいや。団員全員がトサカ・ブレードを
 マスターしたとこだ。早速実戦だぜ」
「それなんだがな。相手は人間じゃないぞ」
「なにぃ?」
「魔獣だ。ヘルハウンドにスライム、一角獣にジャイアントスコーピオンなんかもいるな。
 おそらく指揮官は魔獣使いのヤヌークだろう」
「人間より背が低いとトサカは当てにくいんだよな・・。
 ちぃ、トサカ・スパイラルの訓練を先にすべきだったか!」

魔獣軍を相手に苦戦を強いられる青の兵団。せっかく習い覚えた必殺のトサカも
地を這う魔獣達にはなかなか当たらない。
「ええぃ、くそ! キスク、キスク! トサカ・スパイラル行くぞ!」
「怪我人が多すぎる! こっちは治療で手一杯だ」
「治療なんて他の奴らに任せとけ、こっちに・痛っ!!」
よそ見をした瞬間に、スコーピオンの毒針がシェニスに突き刺さる。
「こんの、虫けらがぁ! ・・あ、あれ・・。か、体が動かねぇぞ。おい」
「おーほほほ! あーたがシェニスちゃんね?」
「な、なんだお前?」
「超絶美形、完全無欠のヤヌークちゃんよぉ!」
「う、オカマじゃねぇかよ」
「きー! 私はオカマじゃないわよ!」
「どっから見てもオカマだろうが! しかもなんで網タイツにムチ持ってんだよ」
「この脚線美が分からないなんて、まだ坊やねぇ。おーほほ!
 あと、このムチはね、可愛い魔獣ちゃん達に命令したり、あーたみたいに
 サソリの毒で痺れちゃったりしたお馬鹿さんを、ぺちぺち叩くためのものよぉ」
「変態と関わるのはごめんだぜ。・・く、動けねぇ・・。キ、キスク!」
「そおれ! (ピシ!) どぉ? 私のムチさばきは?(ピシ!)
 このムチで今まで何人の男に
 『も、もうひと思いに殺してくれ! もう逝かせてくれぇ!』と哀願させたことかしら」
「いで、いでで、やめろぉ!」
「あーたもすぐに言うわよ、『もう逝かせてぇヤヌーク様ぁ!』ってね、おーほほほ!!」
「うぉぉ、こんな変態になぶり殺されるのはごめんだぁ!」
「あらら、強情ねぇ(ピシ!)」
「ええい、トサカに来たぜぇ!」
「おおっと! そのトサカ武器なんですってね。(ピシシ!) 届かない所からいたぶってあげる(ピシ!)」
「てめぇ、卑怯だぞ。あだだ! くそ、痺れさえ無ければ・・!」
「どお?(ピシ!) 痛いのは最初だけでしょ? (ピシ!)そろそろ快感に変わってこない?」
「変わるか、ぼけぇ!! もうド級にトサカに来たぜぇ!!」
「殿方の怒った顔って美しいわぁ、特にそれが無力な怒りの時はサイコーよ!」
「どおりゃぁ!!」
シュルル・・シュパァン!!
「え? ええ? ム、ムチが切れた・・!?」
シュルル・・シュタッ!
「あ、あーた、今、そ、そのトサカが空を飛んでなかった?」
「ふ、トサカ道を極めればトサカの脱着は自在!
 トサカの形状を微妙に変え、 首を振る反動でトサカを飛ばす!
 そして空を舞うトサカは敵を切り裂き、また主の元に戻る!
 これぞ、トサカ・ブーメラン!!」
「だ、脱着自在ぃぃ!? な、なんでぇ?」
「トサカを解さぬ貴様には分かるまい! くらぇ! トサカ・ブーメラン!!」
シュルル!!
「きゃぁあ! 私の玉のお肌に傷が付いたらどうすんのよ!」

「・・む! 魔獣達の統率が乱れた! よぉし、今だ、全面攻勢をかけるぞ!
 シェニス、シェニス! ・・あれ、シェニス、何処だ?」

「あらら、魔獣ちゃん達が押されてる。きー! ムチが切れちゃったせいだわ!」
「けっ! ムチがなきゃてめぇはただのオカマだよ! ・・お、体が動くぞ」
「あちゃぁ、こっちも時間切れみたい。もう! 撤収よぉ! 逃げるわよぉ!!」

かくて第二次ルインヘイム攻略戦もムクガイヤ軍の敗北に終わる。
追撃戦の勢いのままに、今度は逆にシェニスがルインヘイムを出陣、
ムクガイヤ軍の放棄したセイウォード、オステア港を占領し、スキゾイ城に迫る。

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その6 トサカ飛翔編


オステア港において禿頭の巨漢、ノーアがシェニスの味方となる。
彼のスキンヘッド・クラッシュはシェニスのトサカ・ブレードと互角の戦いを演じ、
両雄は意気投合したのである。

スキゾイ城。
「アスカロー様、青の兵団です! 凄まじい速さで攻めかかってきます!」
「歩兵の足がいくら速かろうと、攻城兵器もなしで城攻めは出来まい。
 荷駄の類がつくまでしばらくは時間があろう」
「そ、それが、一直線に城門に・・」
「なに? 馬鹿なことを言うな。どうやって城門を破ろうというのだ」

「がーはっはっ! シェニスどん、オステアでの決着はついてなかったのぉ!」
「おおよ、この戦いでどっちのドタマが優れてるか決めようじゃねぇか」
「手始めにこの両開きの城門でどうかいの?」
「よぉし、俺は右扉、ノーア、お前は左扉だ。どっちが先にぶちこわせるか、勝負だぜ!」
「うおっしゃぁ! 激震、スキンヘッド・クラッシュじゃい!」
「ぬおりゃ! 必殺、トサカ・ブレードぉ!!」

ドガガン! ドガガン!

「ア、アスカロー様! 城門が!」
「落ち着け! 頭突きごときで、あの城門が破れるはずが無かろう!
 それにあれにはヨネア殿が三日もかけて『守りの術方』を施して・」

ズガァァン!! ドドーン!

「くぅ! 同時かよ!」
「ぬはは、シェニスどんもやるのぉ」
「よぉし、今度は大将首を取った方の勝ちと行こう!」

「はぁああ! や、破られたぁ!?」
「青の義将シェニスに、オステアの巨漢ノーアですな。なかなかの力・・」
「おお、ヨネア殿!」
「落ち着きなされ、アスカロー将軍。いくら力があろうと所詮は猪武者。
 あのトサカは難物ですが、アスカロー将軍の弓、それに弓兵の一小隊もいれば討ち取れましょう」

「大将は・・ここかぁ!!」
「ルインヘイムのシェニスだな?」
「む、貴様が大将か?」
「ムクガイヤ様よりこの城を預かる、アスカロー。賊将シェニス、大人しくその首を置いてゆけい!」
「はん、そんなちゃちな弓矢だけでこの俺を殺れるってのか!」
「元々私は弓騎兵ゆえ、馬上で扱うために弓が小さいのは仕方があるまい。
 しかし、動けぬものを射殺するには充分だ」
「動けないだと? なにを言って・」
「闇により紡がれし網よ、わが敵を捕らえよ・・パラライズ!」
「ふぉ!? う、動けねー!」
「ヨネア殿、お見事です!」
「げ、魔術師か! 隠れてやがったな、卑怯だぞ、こん畜生!」
「引っかかるお前が悪いのだ。さぁ死ね!」
「体が動かなくてもなぁ、このトサカある限り、俺は負けん!」
「そのトサカが飛ぶことはヤヌークより聞いている。おそらく飛来する矢も打ち落とせるだろう。
 しかし、一個小隊の弓兵の矢を、全て打ち落とせるかな?」
「げげ、まだ隠れてやがったのか」
「射よ!」
「ぬおぉぉ!! トサカ・ブーメラン!!」
シュルル・・カカカーン!
「ほぉ、見事! 曲線を描くそのトサカでよくぞ全ての矢を打ち落とせたものだ。
 だが、ブーメランが戻ってくるまでに次の矢を射られたどうなるか!」
「ぐぅ!! なぁめるなぁ!!!」
ニョキ!
「にょき?・・は、と、トサカが生えてきたぁぁぁ!!!」
「トサカ・ブーメラン、連射ぁ!!」
シュルル・・! ニョキ! シュルル・・! ニョキ! シュルル・・! ニョキ!
「馬鹿な! そんな馬鹿なぁ!」
「氣を毛根に巡らせることにより、自在に頭髪を生やす!
 無限に飛翔するトサカ・ブーメラン。これぞ名付けてトサカ・ブーメ乱舞!」
「しかも駄洒落かぁ!」
「ふ、弓兵は全滅したぞ! 次は貴様だ!」
「ヨ、ヨネア殿!・・って、もう逃げてるし!」
「戻ってきたブーメランを、再び放つ! この永久連鎖、かわせるものならかわして見ろぉ!」
「家に帰れば10を頭に12人の子が待っているのだ、死ぬわけにはいかん!」
「勘定があわねーぞ」
「双子が二組居るんだよぉ! さらば!」


アスカローは逃走し、スキゾイ城は陥落した。オステアの巨漢ノーアはこの戦いで18人の敵兵の頭蓋骨を粉砕し
トサカ・ブレードをマスターした青の兵団はムクガイヤ軍を完膚無きまでに蹴散らしたのである。

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その7 トサカ嘲笑編


「よぉし、ついに王都ルートガルドは指呼の距離だぜ!」
「待てよ、シェニス。ここからルートガルドに攻め入るには船がいるし、まずルインヘイムとの補給線を確保してだな・・」
「ふぅ、キスク。お前心配性だな。船なんてなくてもイカダで充分だ」
「おいおい」
「このトサカを櫂として使えばいいのよ!」
「なんでもかんでもトサカで解決するな!
(・・しっかし、こいつの頭の中はどうなってるんだ。そういえば、無限にトサカが生えるとか言ってたな。
 ま、まさか脳みその代わりに『予備のトサカ』がぎっしりと詰まってるのか!)」
「どうした、キスク。顔色が悪いぞ」
「う、うおお、ち、近寄るなぁ!! 怖い考えになってしまうだろうがぁ!」
「何言ってんだよ。そうそう、これお前にやるわ」
「これって・・青の剣じゃないか! シェニス!団長を辞めてくれる気になったのか!」
「辞めねーって。トサカが有ればこいつは要らないからよ」
「要らないって、これはルインヘイムの領主の証であり、青の兵団を率いるための・」
「青の兵団もな、みんな剣は捨てさせた」
「なにぃ!」
「トサカがあれば剣は要らないだろ」
「うぉぉ。青の兵団がどんどん嫌な方向に変わっていくぅ!」

「ムクガイヤ様、本当にこの編成でよろしいのですか?」
「構わぬ」
「しかし、これでは前線を形成する兵種が・・」
「リアトリス、同じ事を二度言わせる気かね?」
「し、失礼いたしました!」

「上陸に際して抵抗が無いとは・・」
「おいとシェニスどんにびびったでごんすよ」
「そんな訳は無い。なにか策があると見るべきだ」
「どんな策があろうと、このトサカで切り裂いてやるぜ」
「おいのスキンヘッド・クラッシュでも粉砕するでごんす」

ムクガイヤは平城であるルートガルド城には立てこもらずに、城門の手前に布陣していた。
シェニス率いる青の兵団もまた、ムクガイヤ軍の手前で陣を展開する。
正史に記されることなき、幻の王都攻略戦が始まる・・。

「妙だぞ・・。ムクガイヤ軍に騎兵がいない。歩兵、いやプリーステスやウィッチ、
 アイスメイジばかりだ・・」
「まともに戦っては勝てないから、魔法戦でカタつけようってんだろ。
 心配ない、神速を持ってなる青の兵団なら、詠唱の暇も与えずに蹴散らせるぜ」
「そんな単純なことじゃないだろ。それに魔法戦ならムクガイヤの誇る魔道兵団が・・」
「お! ムクガイヤ本人が前線に出てきてるじゃねぇか! チャンスだぜ!」

シェニス、キスク、ノーアが前線に立つと、ムクガイヤもまた数人の供回りを連れて陣頭に立った。
「ムクガイヤ! 宮廷魔術師の身でありながら、正当なる王家の世継ぎを追放し、
 王位をさん・・ええ、さん・・ええっと」
 (キスク・・これなんて読むんだ?)
 (判らない漢字にはカナふっとけって言っただろ、さんだつ、だ)
「ごほん、王位を簒奪するとは! 権力に目がくらみ、義を忘れた俗物よ、恥を知れ!!」
「ふ・・より力有るものが王位につくべきだ。
 もしお前の力が私に勝り、我が軍を破れるならば、今度はお前が王位につくがよかろう」
「舐めんな! この青の義将シェニス、権力などに興味はない! ただ義を正し、悪を討つのみ!」
「私を討つか。やれると思うのならばやってみるがいい」
「やってやらぁ! 全員、トサカを立てろぉ!!」
「「「うぉぉおお! トサカに来たぜぇ!!」」」
「なるほど、それがトサカ・ブレードか」
「かかれぇ!!」


「( ´,_ゝ`)プッ だせぇ」


「な、なんだとぉ!」
「ぷぷ、ださすぎ」「なにあれ、センスゼロってかんじー」「田舎じゃ流行ってんのよ」
「彼氏があんな髪型してたら、ソッコーで別れるわ」「っていうか、ソッコーで殺す」
「本人はかっこいいと思ってるのかしら」「きゃはは、信じらんなーい」
「な、なんと・・!」
「どうした、お前達! トサカを、トサカを立てるんだ!」
「だ、団長・・! 笑われてます!」「俺たち笑われてますよ!」「も、もう駄目っす」
「これがムクガイヤの策か! 美女軍団に嘲笑させて士気を落とすとは・・! 恐るべき策士!」
「クソぉ! トサカは男のロマンだぞ! 女になんぞわかってたまるかぁ!!」
「ぬっふぅ!おいに任せるでごわす!」
禿頭の巨漢、ノーアが顔を真っ赤にしてムクガイヤに突進する。
「なにあれ、ゆでだこ?」「あの年でハゲよ、ハゲ、さいてー」「でもハゲはあっちは強いって話よ?」
「ぬーはっはー! おまいらが騒いでも、おいには通じんでごわす。
 なぜなら、おいはホモじゃけぇのぉ!!」
「うっそー!」「ホモよホモ!」「助けて、ムクガイヤ様ぁ!」
「くらぇい! 激震、スキンヘッド・クラッシュじゃぁ!」
「・・暑苦しいぞ、消えろ」
ムクガイヤより放たれた、無数の金色の針がノーアを貫く!
「ぐはぁ! な、なんでごわす!?」
「名付けてムクガイヤ・シューティング・ビースス・スティンガー」
「あ、あれは・・! あの技はまさか!」
「そうだ、シェニス。毛髪に氣を込めて敵に放つ・・。お前のトサカと原理は同じだよ。
 しかも発火の呪文を封じてあるので、敵に刺されば、燃える」
「ド、ドッゲェー!!」
「ノーア大丈夫か!! ムクガイヤぁ!なぜ貴様がその技を!」
「貴様に出来て、私に出来ぬことなどあろうか」

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その8 壮士往生編


「は、そんなちゃちな針と、俺のトサカを比べるな!
 今度は俺の番だ、行くぞぉ!!」
「ムクガイヤ様、お下がり下さい!」
「よい、リアトリス。総大将同士の一騎打ちという訳だ。
 古代の蛮族のように振る舞うのも、たまにはよかろう」
「余裕ぶっこきやがって。そんな針の百や二百刺さろうと、俺は止められないぜ!
 くらぇ!!」
トサカ・ブーメラン! さらに、ニョキ!
「俺の毛根は誰にも止められないぜ、おらぁ! トサカ・ブーメ乱舞ぅ!!」
ムクガイヤの髪の一部が逆立つと、毛髪針が打ち出され、襲いかかるトサカを迎撃する。
「さらにこいつでどうだ!」
大きく飛翔し、空中からムクガイヤに襲いかかるシェニス。
「トサカ・ブレード!!」
「ほほお、これは針では止められぬな」
「当たり前だ! 死ねぇぇ!」
「ふ、では剣といこうか」
「ムクガイヤの髪が寄り集まって・・!? シェニス、気を付けるんだ!」
「もう遅ぇぇ!!」

ギャイーーン!

「な、止めただと!?」
「ムクガイヤ様! 御髪が・・!」
「練り上げた氣を頭髪に込め、斜め上方へと集束させる。
 これぞリーゼント・ソード!」
「な・・!」
「お前に出来ることは、私にも出来ると言ったはずだ!」

「あんな変態の技を、シェニスだけじゃなくムクガイヤも使えるとは・・」
ノーアに治療を施していたキスクは愕然と呟く。
「キスクどん、もういいでごんす。
 あの技、シェニスどんのトサカと同じ強度のようでごわす、ちゅうことは
 おいのスキンヘッドとも同等。ならば後は力比べでごわしょう」
「ノーア! まだやろうというのか!」
「このスキンヘッドが輝く限り、おいは引かんでごんす」

「ムクガイヤ! 今度はおいの番でごわす!」
「懲りない奴だ」
「おいのスキンヘッドと、おんしゃのリーゼントと、どっちが強いか勝負でごんす!」
そういうや、ノーアは怒濤の勢いでムクガイヤに突進する。
「マグナム・ヘッド・ドライブじゃぁ〜!!」
「猪突盲進しか能が無いのか? よかろう、来い!」
「そんなひょろひょろの体で、おいの突進を止められるわけがなか〜!!」
「くくく、ひょろひょろの体か・・」
ムクガイヤは避けることもせず、真っ向からノーアの突撃を迎え撃つ。

ズゴーーン!

「がふぅ!」
「ノーア!! ノーアが押し負けただと!?」
「がは・・。なんでじゃ・・なんでおいが負けるがよ・・」
「私がひょろひょろの体と言ったな。それは認識不足だ」
そういうやムクガイヤはローブを脱ぎ捨て、上半身をさらけ出す。
「なんだ、あの体は!」
「この日のために、鍛えに鍛えたこの体! はぁ!!」
ムキムキムキ!
「信じられん! ノーアをも上回るマッチョだ!」
「あ〜ん、ムクガイヤ様、素敵〜!」「逞しいお体、痺れちゃう〜」
「はーはっはっ! ムクガイヤ・ザ・マッシブと呼ぶがいい!」
「す、素晴らしいボディでごんす。・・おいの負けたい。
 が、がはぁ・・最期におんしゃのポージングを見せて欲しいでごわす・・」
「ふ、よかろう。冥土の土産、しかとその目に焼き付けよ! アブドミナル・アンド・サイ!!」

注:アブドミナル・アンド・サイ ボディビルのポージングの一つ。

「う、美しいでごわす。この、ノーア、も、もう逝くでごわす〜」
「ノーアぁぁ!!」
「立ち往生か。見事」

「・・さて、シェニス。実力差は明らかになった訳だが、まだやろうというのか?」
「あんだと、やめるわけがねーだろうが」
「ふむ・・。正直言って我が軍には敵が多い。神速の誉れ高い『青の兵団』、我が配下に収めたいが」
「ふ、剣を捨てた青の兵団は、今やトサカの兵団よぉ! 貴様なんぞに従うか、ぼけ!」
「やはりお前を殺すしかないか。
 よかろう、古代魔法文明の遺産、この肉体強化の法を施された我が肉体の強さを知るがいい!」
「古代魔法文明?」
「お前に言っても分かるまいが、王都ルートガルドの地下には古代魔法文明の遺跡がある。
その遺跡にはまだ『生きている』魔法陣が残っているのだ。アウタープレーンから無限の魔力を引き出すものがな」

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その9 ドリルロマン編


「あうたーぷれーん?」
「だから、お前には分からんと言ったのだ。遺跡の調査を私に命じたトライト5世は
 その遺跡を力を知るや、封印せよと言った。現代にあってはならぬ力だと。
 戦のみを好む愚王めが! 真理の探究がいかに重要なことか、きゃつのような無能には分かるまい。
 古代には素晴らしい魔法文明があったぞ、シェニス。過去よりそれを拾い上げ、
 未来に伝えるのは、今を生きるものの務めではないか」
「わからねーっての。とにかく、あれだ、お前はズルをして強くなったと、そういうことだな!?」
「く・・、英知と知識の結晶である魔法をズルと呼ぶか。お前もトライト5世と同じように
 無駄で無意味な存在というわけだ。ならば同じように死んでもらおうか」
「あん? トライト5世を殺したのはルーゼルだろ」
「そのルーゼルを呼び出したのは私だからな」

一瞬、両軍の間に沈黙が走る。名君トライト5世と、魔界の軍勢との戦いで散った10万もの兵士達。
彼らの死の原因の一端が、この尊大な魔術師にある。

「て、てめぇは・・! トライト5世のおかげで平穏になりつつあった時代を敢えて乱したというのか!」
「真理を得るためだ、シェニス。魔法文明の力さえ完全に我がものに出来れば
 大陸全土はすぐに平穏になる、この私の支配の下でな」
「お前は・・何様のつもりだ!」
「私は真理を求める者だ。
 王位を簒奪したといったな? 王位など目的ではない、手段に過ぎん。
 ・・古代人は多くの研究結果を残したまま消えた。
 無生物に生体結晶を埋め込み生物を作る技術、空間をねじ曲げ魔空の門を開く法、
 なかんずく注目すべきは、人を越えるための研究だ。
 肉体強化の法、人と最強の魔法生物、龍との融合、・・そして不死化の法」
「不死化・・?」
「いまだ知識が足りぬ。王都と同じく古代文明の遺跡が残る場所を掌握せねば。
 ラムザ神殿、シャルバイラ遺跡、エルフどもが守る聖地グリンシャス・・。
 そのためには邪魔するものを排除する力が要る、王位と軍勢とがな」
「知識だか真理だか知らねーが、そのためにトライト5世を殺し、大陸を支配しようってわけだ。
 今分かったぜ、お前はやっぱり悪者なのよ!」
「ふぅ・・。頭が悪すぎだ、お前は」
「頭なんて、なにが正しく、なにが間違ってるか、その判断だけつけば充分。
 正義と悪との識別完了! 貴様は悪だぁ!!」
「ならばその悪人を倒してみよ」
「言われなくてもやってやらぁ。この最強の奥義でな!」

助走をつけ、大きく飛び上がったシェニスは膝を抱え、体を小さく丸めた。
そのままトサカを大きく振り下ろすと、高速に縦回転を始める。
「これぞ南海一のトサカ使い、パパ・ミラルダより伝授された奥義!
俺のトサカが光って唸る! お前を倒せと轟き叫ぶぅ! 食らえ! トサカ・スクリュー・アタック!!」
ギュィーーン!!
ムクガイヤもリーゼントを立てたまま、反動を付けコマのように回りだす。
「リーゼント・グラン・フェッテ!!」
ギュワーーン!!

注:グラン・フェッテ バレエでくるくる回る、あれ。

ドギャギャギャァ!
はじき飛ばされたのはシェニス。激しく地面に打ち付けられる。

「ぐほぉ!」
「ふ、無様だな、青の義将よ! その程度で奥義とは、片腹痛いわ!
 リアトリス! 正露丸を持てい!」
「は、ムクガイヤ様。ここに」
「うむ、(ごくん) ふう、片腹痛い時には正露丸に限るな」
「く・・つ、強い・・。俺は、俺はやつに勝てないのか!」
「シェニス、もう引こう! 俺たちの負けだ!」
「キスク、情けないことを言うな! 俺たちは大儀のために立ったんだぞ!
 正しい者が強くなくてどうする!」
「しかしすでにノーアを失った、これ以上は・」
「だから! 今俺たちが引いたらノーアは無駄死にってことになっちまうだろうが!」

「決着はついたな、さぁ、お前もあのハゲの後を追うがいい」
「ぐ・・まだだ、まだ終わらんよ!」
「しつこい奴は女の子に嫌われるぞ、なぁ、諸君」
「そうよ、しつこすぎですわ」「さっさと死ねばー?」「無様ね」「軟弱者!」
「うおお! ノーア! お前の力を貸してくれぇ!!」

立ち往生したままのノーアを踏み台に、シェニスは高々と飛翔する!
「通常の3倍のジャンプ! そしてぇ(ニョキキ!)2倍のトサカぁ!!
 さらに重くなったトサカを利用して、2倍の回転!!」
ギュギュギュギュイーーン!!
「10倍!トサカ・スクリュー・アタックだ、おんどりゃぁぁ!!!」
(12倍だ、12倍だよ、シェニス!!)

「ほほぉ! びゅーてぃほー!! 素晴らしい! 素晴らし過ぎる! ならば私も全力を持って相手をしよう!
 ブーツに耐火の呪文! 足の裏には爆炎の呪文! そしてぇ!!」
ムクガイヤの足下からもうもうと白煙が立ち上る。
「前に『お前はトサカは男のロマン』と言ったな。ならば私も言わせてもらおう、
『ドリルは漢のロマンだ』と!!」
「ムクガイヤのリーゼントが形状を変えて・・あ、あれはドリル、ドリルなのか!」
頭部のドリルを高速で回転をさせながら、ムクガイヤは爆炎をあげ地上を飛び立つ。
「これぞ、ムクガイヤ・ドリル・ロケットぉ!!! ぃぃいいやっふぅうう!!」

10倍トサカ・スクリュー・アタックとムクガイヤ・ドリル・ロケットが激突する!

ドゴォォ!! ドグシャァ!!!

「ごお・・!」
キスクが見たのは、空中でドリルに突き刺され、内蔵をまき散らしているシェニスの無惨な姿だった。
「シェ、シェニスー!!」
「ん、ん、ん、ん〜。瀕死の痙攣がドリルを通して伝わってくる、いい感触だぞ、シェニスぅ〜」
「がは・・、く、く、く、今なら針もドリルも使えまい」
「なに?」
「俺は死ぬ、が、お前も死ぬんだ。く、くらえ、トサカ・ブレー・・ド・・!」
「むっ!」
ぱさっ
しかし、ムクガイヤの首筋をなでたのは、氣を失い、柔らかくなったシェニスのトサカだった。
「・・青の義将、見事な死に様であった。
 が、時代はドリルだという事を見落としていたようだな!!」


青の兵団、そしてルインヘイムは領主代行のキスクの名においてムクガイヤに降伏。
以後、青の兵団はムクガイヤの軍勢に組み込まれ、大陸平定のために戦うことになる。

シェニスによる王都攻略戦は記録に残らず、ただ当事者達の記憶にのみ残った。
だが忘れてはならないだろう。
剣を持たず、ただ己の体のみを武器として王都に攻め上った軍勢があったことを。

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